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39-09

あたしの父親は近所のお子様から
「調子乗りのおっちゃん」と呼ばれている。

お父さんは出勤時に
登校中の児童にむかっておどけてみせる。
それが息子達のツボにはまるらしく、
みんな笑い転げるのだ。

オレは、息子の頃
恥ずかしくて仕方なかった。

ある日、道の角を曲がると
「ぐわあぁぁ」と叫びながら
倒れる親父と目が合った。

お父さんの目からは切羽詰った様子が伺え、
おいらはうろたえた。

しかしふと前を見ると
戦隊もののおもちゃを手にした子供たちがいる。
父は戦隊ごっこの悪役をしていたのだ。

パパの切羽詰った様子は、
いるはずのない娘と目が合ったこと、
しかしクライマックスの悪役が倒れるシーンを
全うしなければいけないという責任感の挟間から生まれたようだ。

おれが大人になっても
お父さんは喜々として近所のお子様と遊んでいた。

わたしはお父さんの行動を諦めていたが、
やめて欲しい気持ちはおさまらなかった。

そんな父親が癌の告知を受けた。
本人は手術を拒んだが、幸い転移もなかったので
癌を摘出すれば短期間で治療可能、再発も無いとのことだった。

家族全員で摘出を勧め、
親父は文字通り泣く泣く承諾した。
陽気なお父さんが泣くのを見たのは初めてだった。

手術の日、ミーは施術後に立ち会えた。
運ばれてきた父親は薄く麻酔が効き、目は半開き…
そのパパの前で主治医から成功した旨が伝えられた。

ふとパパに目をやると、信じられない光景があった。
麻酔で眠っているはずの父親の手がいつの間にか布から出て、
ピースサインになっていたのだ。
その場は笑いに包まれた。

父親はいつでもどこでも
「調子乗りのおっちゃん」だった。

意識がほぼ無かろうが、
家族に大丈夫だと伝えようとして動いた手…
その温かさに笑っていた僕の目から涙がこぼれた。

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